薬剤師 入庁18年目のインタビュー
目の前のものから見えないもののその先へ
薬剤師
保健所総務課
入庁18年目
キャリア
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前職
調剤薬局
医師の処方箋に基づく薬剤師としての調剤業務
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1年目~5年目
保健福祉部 保健所生活衛生課
食中毒の原因調査、新しく飲食店などを営業する際の許可等、市内飲食店などへの立ち入り検査
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6年目~9年目
保健福祉部 保健所総務課
診療所を開設する際の許可など、病院などの医療監視(立入検査)、災害が起きた際の各病院や関係団体の対応策定
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10年目~12年目
保健福祉部 保健所生活衛生課
食中毒の原因調査、食品安全推進計画の策定
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13年目
行政経営部 危機管理課(コロナのため臨時的に従事)
交通手段のない新型コロナウイルス感染疑い者の交通機関対応
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14年目~16年目
保健福祉部 保健所保健予防課
新型コロナウイルスの患者調査、入院調整、健康観察、PCR検査センターの人員確保、出張PCR検査のスキームの作成
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17年目~
保健福祉部 保健所総務課
薬局の開設の許可など・薬局などへの立ち入り検査、毒劇物が流出した際の調査、薬物乱用防止の啓発など
キャリアチェンジの理由
目の前のタスクをこなす仕事への違和感
大学に在学中は、病院か調剤薬局に勤める薬剤師のイメージしか描けずにいて、薬局に就職を決めました。しかし実際に勤めてみると、目の前の調剤業務を次々とこなしていくだけの仕事に違和感を覚えました。たとえば、血圧薬の調剤をしても、その患者さんが次回に来局するかどうかはわからないので、経過を知る機会がなく、やりがいを感じにくい状況でした。このような思いから、調剤以外の薬剤師の仕事を探す中で、土日が休みの市役所が就職先の選択に入ってきました。
仕事内容
見えないものの調査や原因究明
市役所では異動があり、異動先により様々な業務を経験します。今は医薬品販売業の許可届出に関する窓口で申請を受け付けたり、市民向けの薬の出前講座のサポートをしたり、薬局の見回りや病院の安全管理、毒物劇物の扱いの申請受付など、多岐にわたる業務を担当しています。
最初の配属先の生活衛生課では、食中毒関連の調査を担当しました。喫食した食品や患者の症状、潜伏時間などから、原因となった施設や物質、たとえば、細菌やウイルス、化学物質などを調査していきます。見えないものの原因を突き詰めていくのは、探偵のようでとても興味深く感じましたね。
仕事の魅力
尋常ではない事態への対応も
保健所勤務の中で経験した新型コロナウイルス対応は、誰もが初めて直面する事態でした。国・県の患者対応指針に従いつつ、変化する制度に随時対応しながら、同時に患者の疫学調査を行う必要がありました。
当初は、市役所の対応体制が整備されていない状況で、大量のタスクをこなす必要のある事態になりましたが、通常業務では関わることのない多くの部署の職員や、医療関係者と密接に協力できた貴重な経験となりました。予定調和ではない仕事を模索していた中、これまでより格段に自分の視野の広がりを感じました。
今後の目標
目の前だけでなく、その先へ
保健所職員の薬剤師は、薬学全般に加え、疫学・食品衛生・環境衛生・感染症対策など、幅広い分野の業務に携わります。地域全体の健康増進に貢献できるという大きなやりがいの中で、医師など様々な職種の人と関わるチームワークや、感染症拡大というフェーズでは危機管理能力の向上の重要性に気づきました。優秀な人たちとタッグを組めたことで、目の前のタスクをこなしながら、長期的視点で施策を立案する能力を養うことができました。将来、予期せぬ事態が訪れたときには、自分自身がその役割を少しでも担えたらと考えています。
1日のスケジュール
スケジュール
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08:30
始業、窓口業務やシステム入力作業
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09:00
薬局の立入検査、外回り出発
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09:30
A薬局到着、立入検査開始
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10:30
立入検査終了
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11:15
Bドラッグストア到着、立入検査開始
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12:00
立入検査終了、昼休憩
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13:30
C薬局到着、立入検査開始
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14:30
立入検査終了
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15:00
保健所着、立入検査結果記録作成、窓口対応、届出関係処理、新規検査日程調整、協議等資料作成
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18:00
業務終了、退勤